五尺ヘンヨー |
五尺ヘンヨウは五尺節とも言い、与論島で古くから歌われてきたもので、かつて夜遊びの盛んであった頃には、その歌番組のなかに欠かすことのできないほど、愛唱されてきた名曲である。 「五尺節」は全国二十数カ所において、それぞれ独特の歌詞と曲調で歌い・はやされてきたローカル色の豊かな民謡で、盆踊り・祝い歌・神事芸能・田植歌等に著名なものが多い。 沖縄県西表島の「五尺でい」、肝属郡串良町の「五尺節」、長崎県上対馬の「五尺手拭」、兵庫県八木村の「五尺節」、東京都木間町の「五尺手拭」、茨城県三村の「五尺手拭」、岩手県江釣子村の「五尺節」、徳之島町の「五尺手拭」、滋賀県信楽町の「五尺手拭」等が有名である。与論の「五尺節」は与論女性の芭蕉染色のことから始まるが、次はイチョーキ長浜に対比して赤佐乙女の讃美に移り、さらに夜遊びへの勧誘など雑多な内容の詞を次々に展開しているところに特色がある。 そしてこの五尺節は、曲、詞ともに他市町村に類がなく、全く与論独特のものである。 「へんよう」は、はやし言葉であって別に意味はない。 ( 一 ) ( 二 ) ( 三 ) ( 四 ) ( 五 ) ( 六 ) ( 七 ) ( 八 ) (注)五尺へんようは、二句ずつを組み合わせて対にして歌うので、歌意は次の通り。 一・二 五尺の手拭を紫色に染めたので、今度来られるときにはこの手拭をかぶっておいでなさい。 三・四 イチョーキ長浜に打ち寄せる波は、赤佐(茶花)美女の笑顔や歯ぐきに似てあまりにも美しい。 五・六 右積の丘(西区)に降る夏時雨は、夏時雨ではなくて、いとしいかの人の涙である。 七・八 今日の遊びはこれで切りあげましょう。明日は早々とお出で下さい。また楽しく遊びましょう。 |